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インスリン(インシュ
インスリン(インシュリン)は、すい臓に存在するランゲルハンス島(膵島)のβ細胞から分泌されるペプチドホルモンの一種。名前はラテン語でinsula(島)に由来する。21アミノ酸残基のA鎖と、30アミノ酸残基のB鎖が二つのジスルフィド結合を介してつながったもの。


生理作用としては、主として炭水化物の代謝を調整する。骨格筋におけるぶどう糖、アミノ酸、カリウムの取り込み促進とグリコーゲン・タンパク質合成の促進、肝臓における糖新生の抑制、グリコーゲンの合成促進・分解抑制、タンパク質合成の促進、脂肪組織における糖の取り込みと利用促進、脂肪の合成促進・分解抑制など。全体として異化を抑制して各種貯蔵物質の新生を促進する傾向にある。
インスリンは血糖値の恒常性維持に重要なホルモンである。血糖値を減少させるため、糖尿病の治療にも用いられている。逆にインスリンの分泌は血糖値の上昇に依存する。
従前は「インシュリン」という表記が医学や生物学などの専門分野でも正式なものとして採用されていたが、2006年現在はこれらの専門分野においては「インスリン」という表記が用いられている。一般にはインスリンとインシュリンの両方の表記がともに頻用されている。
目次
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物性
- 分子量 5807(ヒト)
- 等電点 5.3
歴史


1869年にベルリンの医学生・ポール・ランゲルハンスは、顕微鏡で見た膵臓の構造を研究していた。後にランゲルハンス島として知られる「小さな枠の集合体」は当時まだ知られていなかったが、Edouard Laguesseは、それらが消化に関わる大きな役割を果たすものであり得ると主張した。
1889年、ドイツの内科医・オスカー・ミンコウスキーOscar Minkowskiと、Joseph von Mehringは健康な犬の膵臓を取り除く研究を行った。実験が始まって数日後、ミンコウスキーはハエがいつもこの犬の尿に群がっていることに気付いた。尿を調べてみると、糖分が含まれており、ここで初めて膵臓と糖尿病との関係が実証された。
1901年、Eugene Opieによりランゲルハンス島と糖尿病との関連が明らかにされたとき、この研究は新たな段階を迎えた。つまり、糖尿病はランゲルハンス島の部分的あるいは全体的な破壊によって引き起こされるということがわかったのである。しかしながら、ランゲルハンス島が果たす特定の役割については、ここではまだよくわかっていなかった。

2. Spontaneous folding
3. A and B chains linked by sulphide bonds
4. Leader and C chain are cut off
5. Insulin molecule remains
それから20年、これに連なる数々の研究が科学者の間で行われた。1921年には、カナダの整形外科医フレデリック・グラント・バンティングFrederick Grant Bantingと医学生チャールズ・ハーバート・ベストが研究室でインスリンの抽出に成功した。
1922年1月11日、当時14歳であった1型糖尿病患者に世界で初めてインスリンの投与が行われたが、これは、精製方法が未熟であったこともあり、患者にひどいアレルギー反応がでたため中断された。バートラム・コリップは、それから12日間投与量などの改善に日夜努力し、23日に再び投与が行われた。 今度は副作用を引き起こすこともなく、糖尿病の症状を取り除くことにも成功した。
1922年の春が過ぎ、ベストは大量の需要にも応えられるように抽出技術を工夫したが、精製はまだ未熟であった。1921年の発表の直後、イーライリリー社から、彼らは支援の申し出を受けており、4月にこの申し出を受けた。11月にリリー社は技術の革新に成功し、非常に純粋なインスリンの生産に成功した。このインスリンは、アイレチンという名ですぐ市場に出された。
ノーベル賞
インスリンについては四人が、ノーベル賞を受賞している。インスリンを発見したバンティングとマクラウドが1923年に賞を受賞。その後も、1958年にインスリンのアミノ酸構造を解明したフレデリック・サンガー Frederick Sanger が、1964年にドロシー・ホジキン Dorothy Crowfoot Hodgkin がそれぞれノーベル賞を受賞している。
製剤の種類
- ヒト型インスリン:大腸菌や枯草菌にヒトインスリン遺伝子を導入しインスリンを生産している。亜鉛などで持続時間をかえた中間型(NPH or N:Neutral Protamine Hagedorn)•持続型(U:Ultralente)と速効型(R:Regular)があり、速効型と中間型を10%から50%の割合で混ぜた混合型インスリンがよく使われている。
- インスリンアナログ:アミノ酸配列を変更して持続時間を変えた製剤が上市されている。
投与方法

外部リンクにもあるとおり、インスリンの投与方法は経口薬や座薬型、湿布のような皮膚吸収型なども含め、様々な研究が続けられているが、経済的な理由や吸収率の問題でペン型注入器を用いる方法がもっともメジャーである。
- ペン型注入器
- インスリンポンプ
- 吸入型インスリン(2006年1月26日にファイザー社がFDAの承認を受けたのが初。日本では未承認)
関連
- 低インシュリン・ダイエット(低インスリン・ダイエット)
- グリセミック値の低い食品またはその摂取をいう。血糖値の一過的な上昇を避けることでインスリンの分泌を回避し、脂肪の蓄積を防ぐとされ、ダイエット(美容痩身)目的で行われることがある。
外部リンク
- 特許庁:代表的特許の技術発展図:特許庁のサイト内。特許でインスリンの技術発展史が見られる。
- インスリンの歴史:日本でのインスリン製剤発売の経緯など
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