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経口血糖降下薬(OH

経口血糖降下薬(OHA : oral hypoglycemic agent)にはスルフォニルウレア剤(SU薬)、ビグアナイド剤(BG薬)、αグルコシダーゼ阻害剤(αGI薬)、チアゾリジン系誘導体(TZD薬)などがある。また、最近は短時間作用型のSU受容体刺激薬であるフェニールアラニン誘導体も上市されている。

目次

  • 1 個々の薬の説明
    • 1.1 開発中の薬
  • 2 適応
  • 3 副作用
  • 4 禁忌
  • 5 注意
  • 6 関連書籍
  • 7 外部リンク

個々の薬の説明

  • SU薬:膵臓のランゲルハンス島β細胞のSU受容体(SUR1)に作用し、インスリン分泌を促進させる。グリベンクラミド(商品名:オイグルコン®やダオニール®)、グリクラジド(商品名:グリミクロン®)などがある。半日から1日以上持続して作用する。抗生物質の開発中、副作用の低血糖が起きて、薬効が発見された。1950年代から使用されている。
  • フェニールアラニン誘導体(グリニド系):膵臓のランゲルハンス島β細胞のSU受容体(SUR1)に作用し、インスリン分泌を促進させる。ナテグリニド(商品名:ファスティックやスターシス)、ミチグリニドカルシウム水和物(商品名:グルファスト)などがある。食後は吸収が悪くなるので食直前に内服する。5-15分で薬効を来たし数時間で作用消失する。食後血糖降下薬ともいわれる。
  • BG薬:肝臓に作用して糖新生を抑え,筋肉での糖の取り込みを促進する。副作用として乳酸ピルビン酸が蓄積しやすく、脱水や肝障害・腎障害のある場合には禁忌である。肥満の患者ではインスリン分泌を伴わないので体重増加が回避される利点がある。1960年代から上市されたが米国では乳酸アシドーシスのため長らく使用されず、英国でのUKPDSでの再評価のあと、インスリン抵抗性のある患者に広く使われるようになりTZDとの合剤も海外では販売されている。メトフォルミン(商品名:メルビン®)やブフォルミン(商品名:ジベトスB)がある。
  • αGI薬:糖質が吸収されるためには澱粉のような多糖類から消化酵素の作用を得て二糖類(麦芽糖や蔗糖)、単糖類(ブドウ糖や果糖)に分解される必要がある。その酵素、α-グルコシダーゼを阻害し、消化吸収を緩徐にすることで、血糖の上昇をおさえるので、食後過血糖改善薬ともいわれる。頻度の多い副作用として消化されずに腸管にのこった糖類が醗酵し放屁・鼓腹や下痢を来しやすい。腸閉塞様症状に至る場合もあり糖尿病性神経障害で消化管蠕動障害があるばあいは留意する。体質的に、肝障害を来す例があるので肝トランスアミナーゼの定期的な観察を行う。ボグリボース(商品名:ベイスン®)やアカルボース(商品名:グルコバイ®)、ミグリトール(商品名:セイブル®)がある。
  • TZD薬:インスリン抵抗性改善薬と呼ばれ、核内受容体PPAR-γに結合しインスリンの抵抗性を悪化させる様々な因子の転写調節をする。主として末梢組織のインスリン抵抗性改善にあたる。脂肪細胞に作用しブドウ糖の取り込みを増やす事で血糖が低下する。その代わり肥満を助長しやすくなる。塩酸ピオグリタゾン(商品名:アクトス®)だけが現在、国内で上市されている。最初に商品化されたトログリタゾン(商品名:ノスカール®)は肝障害の死亡例が相次ぎ、その原因の一つとして肝臓での薬の代謝に関わるグルタチオン抱合酵素GSTT1とGSTM1の変異が重なると特に副作用の発症率が高い事が示された。類薬ではトログリタゾン程の肝障害は報告されていないが留意して使用するのが望まれる。副作用として浮腫を合併することがあるが、腎でのインスリン感受性亢進のため、Naの再吸収を促進するためだといわれている。

開発中の薬

  • ジペプチジルペプチターゼ(DPP)IV阻害薬:消化管ホルノンでグルコース依存性にインスリン分泌を促すインクレチンの分解酵素のDPP-IVを阻害する事で、インクレチンの血中濃度を上昇させる。その結果インスリン分泌が促進される。GLP-1には胃排泄能低下作用があり血糖上昇が穏やかになり、インスリンを産生するランゲルハンス島β細胞の増殖を促すのでは無いかと期待されている。
    • sitagliptin(MK-0431/ONO-5435)米メルク社が開発中、腎排泄性。上気道感染症尿路感染症の副作用が3%に見られたが、膵疲弊の軽減の結果かHOMA-βやプロインスリン/インスリン比の改善をもたらした。151名の日本人患者による実薬偽薬間検討でもHbA1c 1.05%の低下をもたらした。
    • vildagliptin(LFA237, Galvus(R))スイスノバルティス社が開発中。メトフォルミンに比べて消化器症状が低く( m 43.7% vs v 21.8%)、ロジグリタゾンでは1.6kgの体重増加があったのに対してビルダグリプチンは1kg以上の体重減少があったとしている。
    • 他に武田サンディエゴ株式会社のSYR-322がある。
  • SGLT阻害薬:Na + -ブドウ糖共輸送体(SGLT:sodium-dependent glucose transporter 1)は尿細管内腔にあり糸球体で、ろ過された原尿には血漿と同じ濃度含まれているブドウ糖をナトリウムと共に尿細管細胞内に再吸収する。この蛋白のお陰で尿糖閾値までブドウ糖が外に失われずに済む。尿糖を増やせば血糖がへる。血糖が正常化すれば、膵でのインスリン分泌の負担が軽くなり、糖毒性が取れるのではないかというコンセプトで、SGLT阻害剤の開発が進められている。同じ蛋白は小腸上皮粘膜細胞にあり 腸管からの糖の吸収に携わっている。田辺製薬T-1095、サフィノアヴェンティスAVE-2268、キッセイ製薬KGT-1251などがある。
  • フルクトース−1, 6−ビスホスファターゼ(FBPase:Fructose 1,6-bisphosphatase)阻害剤:糖新生を妨げる事で血糖の上昇を抑えようと言う機序の薬品である。メタベイシス社と第一三共が CS-917の開発を進めている。

適応

  • 糖尿病

特にインスリン分泌が残存している2型糖尿病のインスリン非依存状態において有効である。 2型であっても、重篤な感染症の様にインスリン需要の多いとき、清涼飲料水ケトアシドーシス(ペットボトル症候群)の様に分泌を上回るブドウ糖摂取があるとき、周術期や妊娠などはインスリン治療が必要である。

  • 適応は得ていないが、BG薬やαGI薬による境界型糖尿病の糖尿病型への進展予防効果が報告されている。

副作用

  • 低血糖(特にSU薬とフェニールアラニン誘導体。他のものも頻度を高める。αGI薬を使用しているときは低血糖のとき澱粉や蔗糖では血糖上昇に時間が掛かるのでブドウ糖や清涼飲料水に砂糖の代用に使われているブドウ糖果糖液糖を低血糖の処置に用いる)
  • 肝機能障害(αGI薬、TZD薬)
  • 腸閉塞(αGI薬)
  • 乳酸アシドーシス(BG薬)

など

禁忌

  • インスリン依存状態
  • 糖尿病性昏睡(糖尿病性ケトアシドーシス、乳酸アシドーシス、非ケトン性高浸透圧性昏睡、低血糖性昏睡)
  • インスリン治療の絶対的適応(重傷感染症、全身麻酔など中等度以上の侵襲をともなう手術、糖尿病合併妊娠「妊娠糖尿病:GDMを含む」)
  • 高度腎機能低下(SU薬においては作用が遷延し、BG薬においては乳酸アシドーシスを来しやすい。TZD薬では浮腫を来しやすく溢水をまねく)
  • 肝障害(SU薬においては作用が遷延し、BG薬においては乳酸アシドーシスを来しやすい。TZD薬やαGI薬は特異的な副作用の肝障害との鑑別が困難になる。)
  • 腸閉塞、腹部手術後(αGI薬では鼓腹から腸閉塞を招きやすく、腸管気腫症や胆道気腫症も起こす事がある)

など

注意

幾つかの健康食品や漢方薬にSU薬などの経口血糖降下薬の含有があったと報告されている。中国語を列記する。 「格列本=(ニクヅキに尿)」グリベンクラミド、「伏格列波糖」ボグリボース、「二甲双=(ニクヅキに瓜)」メトフォルミン

関連書籍

科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン (日本糖尿病学会編、南江堂、2004年5月、ISBN4-524-23552-3 C3047 3800E)

外部リンク

  • 社団法人日本糖尿病協会
  • 後藤由夫「私の糖尿病50年」-糖尿病医療の歩み-
  • 降糖西薬 中国語の経口血糖降下薬名リスト
  • 病気の解説のページ
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